飼いならされていないという意味であるSAUVAGES ソヴァージュ。
今著のタイトルFROMAGES SAUVAGES フロマージュ・ソヴァージュとは一体どういう意味なのだろうか。チーズに野生があるのだろうか。
実はフランスで消費されているチーズのうち90%が生乳ではなく牛乳から作られているそう。
テロワールとラベルがつけられているものでさえ酪農のために品種改良されたプリム・ホルスタインの殺菌された乳を用い、飼料も草ではなくサイロで保管されたとうもろこしを与えた工業的なチーズを生産を行っているそうだ。
今回の書籍は提言しているのはそんな人工的に作られ消毒されきった世界を離れ、野生のチーズを通じて本当の生命に触れようというもの。
非常に少数ではあるが、家畜と土壌、牧草、酵母などその多用性を活かしたチーズ作りをしている生産者を巡る様子が今著には収められている。
なるほど確かに登場する生産者やそのチーズは上品とは言い難いかも知れない。
しかし牛や羊と共に生き、一つ一つ大切に作られているチーズを見ると"本物"のチーズとはこういうものなのかと感じられる。
フランスでも少なくなった野生のチーズを知ることができる1冊。
édition: ulmer 社
192ページ
フランス語
2020年刊行
サイズ:縦 29cm×横 24cm×幅 2cm
ISBN: 9782379221347