アサイー、ジャンブー、トゥクピー、日本でも最近耳にするようになった食材から初めて聞くものまで、アマゾンにはまだまだ我々の知らない食材が溢れている。ブラジル、サンパウロでその食材達をふんだんに使い、世界中から注目されているレストランがある。それがD.O.M ドム、シェフはAlex Atala アレックス・アタラである。
彼は小さい頃から漁や猟で生計を立てていた父や祖父についてアマゾンに入り、色々な食材や新しい味の探検をしていたそうだ。その後彼はベルギー、フランス、イタリアなどを巡り料理を学ぶのだが、その中で彼が気付いた事がある。
それは“たとえ色々な国の料理をレシピ通り作れるようになったとしても、出来上がる料理の味は自分の文化にはない味だ”という事と“各国の優れたシェフ達も自分以上にブラジル料理を上手く作れる人はいない”という事だ。
そして1999年にD.O.M ドムをサンパウロでオープンする。当時はお金が必要だった事と、新しい食材を使ってブラジル料理というものを見直してみようと思っただけで大した野望は持っていなかったそうだ。だが現在は世界ベストレストラン・ランキング2013では第6位、そして世界中のグルメが挙って集まるレストランになっている。
この本ではまず食材その物の写真が掲載された後、その食材を使った料理の写真とレシピが公開されている。また写真も美しく光沢のある料理や食材のページとマットな質感の現地の人々や風景が写ったページに分かれている。
現地の熱風や音、大地の匂いが届きそうな食材の写真のあとに美しい料理の写真がある。最高に土臭く、最高に洗練された1冊だ。
Photos: Sergio Coimbra
Publisher: Phaidon 社
292ページ
英語
2013年刊行
サイズ:縦 30cm×横 26cm×幅 3cm
ISBN:978-0-7148-6574-4