Magnus Nilsson マグナス・ニルソン
この本はスウェーデンで星を期待される若手シェフ Magnus Nilsson マグナス・ニルソン の処女作である。
スウェーデン出身の彼の経歴はフランスから始まる。
彼はまず Alain Passard アラン・パッサール率いる L'Arpège アルページュで働く、がしかしフランス語が上手く話せなかったため意思疎通がとれず、僅か数週間でクビにされてしまう。その後は Pascal Barbot パスカル・バルボの L'Astrance アストランスで約3年間働いた。
スウェーデンに戻った後、フランスにいた時に手に入った豊かな食材が手に入らないという理由で、彼は一時期だが料理から離れる事になる。その間、彼はワイン・ライターになるための勉強をし実際ソムリエとして働いた。だがそのレストランで少しずつキッチンでも働くようになり、本格的に戻る頃に彼はヘッドシェフに抜擢された。それが今彼の働く Faviken Magasinet ファビケン・マガシネットである。
当初は世界中から食材を集めていたが、後にこのレストランは現地の食材を扱う事になり世界的に有名になる。というのも現地の環境ゆえ冬季に食材を確保するのが非常に困難だからである。
「冬に我々は新鮮な食材に別れを告げなくてはならない。そしてそれらと会う事ができるのは次の春だ。だからこそ我々は工夫を凝らし、食材を確保しなくてはならない。そこが難しい処であり、興味深い点でもある。」
自然と立ち向かうのではなく、自然と共に生き、困難を乗り越える難しさと楽しさを識る彼らしい言葉である。
【MEAT】
Ribeye of beef dry aged for twenty weeks, sour onions, turnip thinnings and green juice
(20週間乾燥熟成させたリブ・ロース、サワーオニオン、間引きした蕪の葉と緑青のジュース)
Marrow and heart with grated turnip and turnip leaves that have never seen the light of day, grilled bread and lovage salt
(髄と心臓 下ろした蕪と日の光を浴びたことのないその葉達 トーストしたパンとラベージ風味の塩)
Capercaillie and coniferous forest
(雷鳥と針葉樹林)
【FISH】
Wild trout roe in a warm crust of dried pig's blood
(天然のイクラを豚の血を乾燥させて作った殻に詰めて)
Scallop “I skalet ur elden” cooked over burning juniper branches
(“I skalet ur elden”燃える松の枝の上で調理した帆立)
Steamed Arctic char, pickled, salted, dried and pasteurized mushrooms, crab apples, fermented cucumbers and dried marigold petals from last summer
(スチームした北極岩魚 酢漬け、塩漬け、低温調理の3種の茸、野生リンゴ、発酵させた胡瓜と昨年の夏に乾燥させたマリーゴールドの花弁)
【PLANTS】
Broth of autumn leaves
(枯葉のコンソメ)
Grilled pine mushrooms, vinegar matured in the burn-out trunk of a spruce tree
(松茸のグリル、燃え尽きたトウヒの幹で熟成させたビネガーと)
Crispy lichens seasoned with dried egg yolks and very lightly cold-smoked fish, lightly soured garlic cream
(海藻のチップス 乾燥させた卵黄の風味と僅かに燻製した鱒の香り ニンニクの香るクリームと)
【DAIRY】
A little lump of very fresh cheese, one lavender petal from last summer
(新鮮なチーズ1塊と去年の夏のラベンダー1葉)
Grated red beets seasoned with raspberry vinegar, raspberry ice and jelly, yogurt
(ラズベリービネガーで風味づけしたレッド・ビーツ、ラズベリーのアイスとゼリー、ヨーグルト)
Sorbet of milk like it was in the old days, whisked duck eggs and raspberry jam from last autumn
(過去った日々のような懐かしいミルクのソルベ、泡立てた家鴨の卵と去年の秋に作ったラズベリージャムを添えて)
Photography : Erik Olssen
Publisher: Phaidon社
272ページ
英語
2012年10月刊行
ハードカバー
サイズ:縦 30cm×横 22cm×幅 3cm
ISBN: 978-0-7148-6470-9