近年世界的に注目を集めている料理人Willem Hiele ウィレム・ヒエレはGault&Millau ゴー・ミヨーに"干拓地の地元の食材をその哲学で美しい皿に昇華させた"と評価されている。
Polder ポルダー (干拓地)とはオランダの北西部やベルギー北部の北海沿岸地域にみられる浅海や沼沢地を干拓して造成した低地のこと。
この地で8世代にもわたり漁師を続けてきた家に生まれたWillem Hiele ウィレム・ヒエレは何より海を愛し、料理とウィンドサーフィンに情熱を注いでいる。彼が海とその周囲にある自然を取り入れた料理を作っているのは当然の流れのようだ。
かつてパティシエを目指しベルギー国内で働いていたが美しい波を求めてアフリカに移り、バンに住みながら自然の中で食材を探したそう。
ベルギーに戻った際にヨットクラブで料理人としての仕事を見つけたが、冒険心を抑えきれず今度はオーストラリアとニュージーランドを1年半旅し食と住処を得るために農場で働いた。その時も道中で見つけた食材を使って自分で料理をしていたという。
単にワイルドな料理だけでなくベルギーの三ツ星レストランZilte ツィルトでの勤務なども経験しており、自然を活かしながらも洗練された料理は"ミニマリスト料理"や"複雑な層の中に常に本質がある"といった類まれな評価を得ている。
今著では地元のインスピレーションから生み出された料理とその物語が美しい写真と共に収められている。
テロワールの重要性だけでなくどこか神聖な佇まいさえ感じられる1冊。
edition: KANNIBAAL 社
237ページ
英語 オランダ語 併記
2020年刊行
サイズ:縦 27.5cm×横 21.5cm×幅 3.5cm
ISBN: 9789463887113