プロの料理人、菓子職人というのは寡黙で一心に作業に掛かり、素晴らしいものを作り出す。勿論その姿に憧れ、料理人、菓子職人になりたいと思う人もいるだろう。
だが私が憧れるもう一つの理想の人物像がある。それがこの本の著者 CHRISTOPHE FELDER クリストフ・フェルデールだ。
パティスリー界の貴公子と呼ばれている彼は笑顔のたえない、物腰柔らかで魅力的な人物だ。彼は日本での人気も非常に高く、料理雑誌でもいつも見かけるし、アンリシャルパンティエのクリエイティブ・ディレクターも務めている。
いわゆる我々が思う職人とはイメージが違うかも知れないが、その実力は折紙つきである。
彼はアルザス出身だ。アルザスはドイツにも近く、元々職人気質の人が多いのであろう。ブーランジェリー・パティスリーの息子として生まれた彼は15歳から本格的に修行を始め、アルザス内外で修行を積んだ後、フォションやギイ・サヴォワなどで働いた。その後僅か23歳という若さでパリのパラスホテルHôtel de Crillon オテル・クリヨンのシェフパティシエに就任する。そして芸術文化勲章や国家功労章を受賞し名実ともにフランスを代表するパティシエとなったのだ。
彼の作るお菓子はどれも色彩豊かで美しく、煌びやかだ。だが決して派手ではない。線が細いのにしっかりしている女性のようなイメージだ。
彼がお菓子作りにおいて大切にしている事は品質・シンプルさ・勤勉・厳格であるという彼は、間違いなく職人なのだろう。だが彼がいつも笑顔でいられるのは、お菓子が好きで、お菓子を好きな人もまた好きだからではないだろうか。
《CRÉATIONS》
“PRÉLUDE D'ÉTÉ”
Biscuit Joconde, crème au chocolat blanc et sorbet lavande
(“夏の前奏曲” ビスキュイ・ジョコンド、ホワイトチョコレートのクリームとラベンダーのソルベ)
“ESQUIF”
Meringue coco, melon et pastèque, glace au miel, pulpe melon safran
(“小舟” ココナッツのメレンゲ、メロンとスイカ、蜂蜜のソルベとサフラン風味のメロンのソース)
“VALENTINE”
Sablé chocolat, crème au chocolat, gavottes,florentin et chocolat chaud
(“ヴァレンタイン” ショコラのサブレ、クレーム・ショコラ、ガヴォット、フロランタンとショコラ・ショー)
“SURPRISE PARTY”
Fraise des bois, glace noix de coco,chantilly caramel, meringue blonde
(“サプライズ・パーティー” フレーズ・デ・ボワ、ココナッツのアイス、シャンティ・キャラメルと黄金色のメレンゲ)
《CLASSIQUES REVISITÉS》
“BABA COOL”
Baba au jus de fruit de la Passion, suprême vanille, ananas mariné, meringue légère au citron vert
(“ババ・クール” ババとパッションフルーツのソース、ヴァニラのシュプレーム、パイナップルのマリネとライムの軽いメレンゲ)
“MARRONFEUILLE”
Feuilletage caramélisé, mousse légère de marron, chantilly au rhum et feuilles de caramel
(“マロンフイユ” キャラメリゼしたフイユタージュ、栗の軽いクリーム)
“FLEUR DE LUNE”
Mousse glacée à l'orgeat, pêche à la violette, maringue acidulée
(“月の花” アーモンド風味のムース・グラセ、スミレの香りをつけた桃と酸味を効かせたメレンゲ)
“AMOUR CHOCOLAT”
Cookies très chocolat, glace chocolat, caramel mou,ctreusel chocolat
(“ショコラ・アムール” チョコレートクッキー、チョコレートのアイス、柔らかいキャラメルとチョコレートのシュトローゼル)
Photographies: Didier gaillard
Textes: Juliette Einhorn
Édition: La Martinière社
192ページ
フランス語
2012年1月刊行
レシピ約40点
ハードカバー
サイズ:縦 22.5cm×横 22.5cm×幅 2cm
ISBN: 978-2-7324-4704-9