日本人のファンも多い女性シェフ Anne-Sophie Pic アンヌ=ソフィ・ピック。三ツ星レストランのシェフであり、スイスやパリにも店舗をオープンさせた人気シェフだ。だが彼女のこれまでの道は決して平坦ではなかった。
1969年にヴァランスというリヨンから約1時間南にある地方都市にあるホテル・レストラン Maison Pic メゾン・ピックの家に生まれる。このMaison Pic メゾン・ピックだが設立1889年の老舗ホテルであり、彼女の祖父であるAndré Pic アンドレ・ピックが1939年に三ツ星を獲得する。その後一時三ツ星を失うが、1950年に彼女の父親である Jacques Pic ジャック・ピックが三ツ星を獲得。
この家系に生まれれば跡を継ぐのが自然だが、彼女はそうではなかった。彼女は経営を学ぶため日本やアメリカを訪れ、カルティエやモエ・エ・シャンドンなどでインターンを行った。しかし23歳の時にやはりその情熱からMaison Picに帰ってくるのだ。
そして料理人になるために父親である Jacques Pic ジャック・ピックの下で働き始めるのだが、僅かその3ヶ月後に父が急逝してしまい彼女はキッチンではなくマネージャーとして働くことになる。
だがその3年後 Masion Pic メゾン・ピックは三ツ星を失ってしまう。この時彼女は三ツ星でなくなった事よりも“父の星”を失ってしまった事に悲しみ、何とかしなければと思ったそうだ。そこで、もう一度キッチンで働き始める・・料理についてきちんと学んだ事がないにも関わらずだ。
そして2007年にとうとう彼女は三ツ星を取り戻す。ミシュランが設立されてから女性シェフが三ツ星を獲得したのはたったの4人だけだそうだ。これは彼女の才能のためだけではないだろう。家族を思い、プレッシャーに負けずに努力し続けた結果ではないだろうか。繊細な料理の奥に情熱を感じるのは彼女の心から届くものなのだろう。
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Photographies: Michaël Roulier
Édition: jacqui amall 社
228ページ
英語
サイズ:縦 29.5cm×横 24cm×幅 3.5cm (外箱含む)
ISBN: 978-1-909342-11-8