今著は"sølvræven" シルバーフォックスと呼ばれる男の物語である。
そのシェフの名前はJens Peter Kolbeck イェンス・ピーター・コルベック、世界で最も名の知れたデンマークのシェフの一人だろう。
幼い頃からキッチンに興味を持ち、料理の道へと進んだ。
コペンハーゲンのHotel d'Angleterre ホテル・ダングレテール、ハンブルグのVier Jahreszeiten
フィア・ヤーレスツァイテン、ロンドンのSavoy Hotel サヴォイ・ホテルといった名だたる五ツ星ホテルで腕を磨いた後、アメリカへ移りデンマーク領事館やNYの最高級ホテル、Waldorf Hotel ウォルドルフ・ホテルで働いている。
ここまでの華々しい経歴でも彼は満足することはなかった。
その後はフランスに渡り、Auberge de l'Ill オーベルジュ・ド・リル、Moulin de Mougins ムーラン・ド・ムージャン、Paul Bocuse ポール・ボキューズ、Troisgros トロワグロ、La Pyramide ラ・ピラミッドといった伝説的なレストランの偉大なシェフ達の元で研鑽を積んだ。
次の7年間はデンマークの王室料理人としてマルグレーテ2世に仕え、1988年に兄と共にレストランをオープンさせた。Christie’s Restaurant クリスティーズ・レストランと名付けられたその店は瞬く間にその名を広め、1993年と2000年にはレストラン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。
現在は現役を退き、若手の育成などに尽力している。
今著では彼のこれまでの道のりと共に彼を象徴する偉大なレシピが記されている。
ポワン、ボキューズ、エーベルラン、ヴェルジェといった時代を築いたシェフ達のルセットを再構築したものなど、古き良き時代も感じさせる1冊だ。
Publisher:Bent C 社
399ページ
デンマーク語
2019年刊行
サイズ:縦 27.5cm×横 24.5cm×幅 4cm
ISBN: 9788797092200