2015年度の世界チャンピオンとなり、世界中から彼のパテ・アン・クルートを食べるためにベルギーを訪れるというシェフ、Karen Torosyan カレン・トロシャン。
常に高いレベルの仕事を追及する彼の姿勢はGault & Millauに新たにArtisan cuisinier de l'annéeというカテゴリーを作成させたと言われている。
石工をしていた父の元に生まれ、かつて石工や宝石職人になることを望まれていたそう。
当時は料理人という職業について理解が少なく料理人の道を選ぶ事は失敗と考えられていた。しかし兵役の際にレストランで働き、その魅力に取りつかれた。
まずは洗い場からキャリアをスタート、ファストフード店やブラッスリーなどで勤務し将来は自身の店をオープンするという決意の元、ホテル学校で本格的に料理と経営を学んでいる。
21歳の時に当時ベルギーを代表するシェフと言われていたJean-Pierre Bruneau ジャン=ピエール・ブルノーの元で働いた。
Karen Torosyan カレン・トロシャンにとって初のファイン・ダイニングと呼べるレストランでの勤務はまさに衝撃だったそうで、今までの10年の経験とはまったく違ったと語っている。
その情熱に火がついた彼は15、16歳からキャリアをスタートした他の人との遅れを取り戻すため、週7日間休まず料理とフランス語の勉強に打ち込み3年の間を過ごした。
その後もベルギーの著名レストランで腕を磨くが、彼が他と違ったのはその情熱だろう。
彼曰く情熱とは火山のようなもので常に心の中で燃やし続け、必要な時には全てを飲みこむ勢いで溢れだす、そして結婚と同じく死ぬまで持ち続けなくてはいけないものだとの事。
今著ではそんな彼の料理哲学が遺憾なく発揮された素晴らしい料理が掲載されている。
彼のスペシャリテとも呼ぶべきパテ・アン・クルートやクーリビヤックはもちろん、アミューズ、前菜、魚料理、肉料理、デザート、そしてテクニックが解説されている。
金細工を意味するOrfevre オルフェーヴル。
Cuisinier orfevreの名に違わない職人の手仕事をご覧頂きたい。
édition: Flammarion社
288ページ
フランス語
2019年刊行
サイズ:縦 28cm×横 21cm×幅 cm
ISBN: 9782081473348